アルタモーダが燃えている 新しいスターは日本人
ローマで行われたアルタ・モーダ週間では、イタリアの創造力、ファンタジーと日本の古代の生地のすばらしい出会いに私たち皆が驚いた。
発想者は加々美佳呼。
47歳の小柄な日本女性で、900年前の方法で純金を織り込んだ手織りの本絹で仕立てた大変貴重な30着をもってローマで初のファッションショーを行った。
この生地を使用したファウスト・サルリ氏は婦人もの、フランコ・リトリコ氏は紳士もののコレクションを同時に発表した。ステージの出来栄えはファッションショーの舞台演出家として頭角を表すラウル・ダレッシオ氏が手掛けただけあって、服・音楽・光と影の交錯が、イタリアと日本という異例の設定にすばらしい効果を生み出し、観客の称讃を呼んだ。
3人のスタイリストの共通のテーマは、マントで鮮やかな色と刺繍の美しさを生地の上で表現しつつ、日本ではほとんど知られていない衣装を扱った。
今回のコレクションで使用された生地に、赤・緑・白の色が多いのは彼らの中にある精神からくるもので原始宗教を連想させるという。つまり赤は太陽、緑は木々、白は水と生命そのものなのである。 ショーで最も称讃を受けたのは“アミダ”この日本人スタイリストが天平時代の生地のはぎれのデザインを6ヶ月掛けて辛抱強く再現したものである。
※1987年7月26日 アルタモーダ記より